高所得者の年金繰下げ

こんにちは。
FP・行政書士すのはら事務所です。
たった一人の老人のおかげで世界経済がとんでもないことになってます。
新NISAで投資デビューした人たちは慌てているのではないでしょうか。
そんな自分も久々にNISA口座を確認したらなんとマイナス損益になっていました。
去年のクリスマスには原資に対して+16%という状態でしたが・・・・
もう若くはありませんが、落ち着いて待つしかありません。
先日またまた学生時代の先輩たちと4人で会う機会があり、また年金の話になりました。

特別支給の老齢厚生年金

年金の受給開始年齢は65歳ですが、65歳前にもらえる特別支給の老齢厚生年金と言うものがあります。4人中2人は特別支給の老齢厚生年金対象者。私ともう一人は昭和36年組で特別支給の老齢厚生年金は対象外。1年しか違わないのに。
昭和61年4月の年金改正で、国民年金と厚生年金保険が一本化され、60歳から支給されていた老齢厚生年金の支給を65歳に引き上げることになりましたが、支給開始間近の方々に対する激変緩和措置として時間をかけて段階的に支給開始年齢を引き上げてきました。男性の場合、昭和16年度の方々から引き上げが始まり、昭和24年度生まれ以降の方々は報酬比例部分といって、本来の年金の老齢厚生年金部分が支給されています。その引き上げも男性については昭和35年度の方々で完了。36年組からは完全に65歳支給となります。女性の場合は何故か5年遅れで、昭和40年度生まれまで特別支給の老齢厚生が支給されます。(以前は定年年齢が男性60歳、女性55歳が一般的でその影響のようです)

<日本年金機構資料より>

特別支給の老齢厚生年金は、65歳からの本来の老齢年金とは全く別のもので繰下げはできません。また特別支給の老齢厚生年金を受けていても、65歳からの本来の老齢年金の繰下げは可能です。

在職老齢年金制度

4人中2人は現在もサラリーマンとして勤務しています。年金をもらいながらサラリーマンをやっていると在職老齢年金制度という制度にかかる事もあります。
在職老齢年金制度は、老齢厚生年金を受給されている方が厚生年金保険の被保険者であるときに、受給している老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額を超えると、超えた分の二分の一が支給停止となる制度です。
・基本月額・・・加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額
・総報酬月額相当額・・・(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
・支給停止調整額・・・51万円(令和7年度)
基本月額が12万円で総報酬月額相当額が40万円とすると、
(12万円+40万円ー51万円)÷2=5000円が支給停止となり、もらえる年金額は11万5千円となります。
もし12万円が全額停止になるということは(12万円+総報酬月額ー51万円)=24万円。総報酬月額相当額が63万円以上と言うことになります。もし65歳以降もそんな高所得だったらどうなるのでしょう。

なお対象になるのは老齢厚生年金であり、総報酬月額相当額がいくらでも老齢基礎年金には関係ありません。また厚生年金被保険者でない、自営業者の方も関係ありません。

高所得者の年金繰下げ

65歳以降もサラリーマンを続け、尚且つ高所得・・・という方もいるかもしれません。全額支給停止まではいかないとしても・・・。そのような高所得のAさんは「65歳から年金を受給しなくても生活していける。年金は繰下げだ!」となるかもしれません。65歳で年金請求を行わず、66歳に到達した後に申出をすれば、繰下げ期間に応じて年金が増額されるのが年金の繰下げ受給です。繰下げ1か月あたり0.7%が増額され、5年繰下げて70歳から受給すれば42%の増額になります。65歳で受給した場合年間150万円の老齢厚生年金が、70歳まで繰り下げると213万円になると言うことです。(ただし税金や社会保険料が増えることもあり、まるまる42%増額とは行きません。)ではAさんはどうなるのでしょう?実はAさんの場合、繰下げしても思っていたほど年金は増えません。繰下げた場合の年金額は、繰下げ期間中の65歳以後に厚生年金保険に加入していた期間がある場合や、70歳以後に厚生年金保険の適用事業所に勤務していた期間がある場合は、支給停止されていた額を除いて繰下げ加算額を計算します。年金をもらっていた訳ではないのに、遡ってそんな計算がされるのです。うまくできてますね。

<日本年金機構資料より>

具体的には、繰下げ加算額に平均支給率を乗じることにより計算します。
・平均支給率=月単位での支給率の合計÷繰下げ待機期間
・月単位での支給率=1-(在職支給停止額÷65歳時の老齢厚生年金額)
ずっと全額支給停止だと増えないということですね。
こちらも同じく、老齢基礎年金は関係ありません。繰り下げればちゃんと増額されます。

このところ年金の議論も活発になっていますね。基礎年金引き上げとか・・・財源を考えるとなかなか難しいような気もしますが、老後の経済的柱ですから増額となれば嬉しいです。でも子供たちの世代に負担はかけたくない・・・。頑張って働きましょう・・・。

        →「行政書士すのはら事務所のホームページ」

         →「FPすのはら事務所のホームページ」