
こんにちは。
FP・行政書士すのはら事務所です。
ようやく金利のある世界になり、喜んでいる人がいる一方で、住宅ローンを返済中の人やこれから家を買おうと検討している人にとっては頭の痛いところです。住宅ローンは固定金利と変動金利、とちらが良いのか・・・よく話題になりますよね。
住宅ローンの現状
住宅金融支援機構の2025年4月「住宅ローン利用者調査」によると、
変動型 79.0%
固定期間選択型 12.2%
全期間固定型 8.8%
で変動型が圧倒的となっています。固定期間選択型も変動金利に分類されるので9割以上が変動型を選択したということになります。調査対象は2024年10月~2025年3月で住宅ローンの借入をされた方が対象となっています。2024年10月は日銀のゼロ金利政策も終わって、金利のある世界となっていましたが、それでも変動金利を選択する人が多かったということです。
住宅ローン金利
実際の金利はどんな感じでしょうか。借入れには借入先ごといろいろな条件はありますが、全期間固定型の代表である住宅金融支援機構の「フラット35」では年金利幅は、年1.840%~年3.970%となっており、最頻金利は年1.84%となっています。(25年7月現在)変動金利はどうでしょうか。大手金融機関の7月の金利は年0.525~0.925%(最優遇金利)となっています。固定金利と比べるとまだまだ差があるという感じです。ただし「フラット35」には、購入する住宅や家族構成により当初5年間、最大1%の金利引下げとなる場合があります。
全期間固定金利のメリット・デメリット
メリットは何といっても、世の中の金利に左右されず、借入金利と返済額がずっと変わらないことでしょう。総返済額も初めから分かており、毎月、毎年の返済額が変わらないのでライフプランが立てやすくなります。子供の教育費なども計画的に作っていくことができるでしょう。デメリットは、変動金利に比べ金利が高く、世の中の金利が下がって行っても毎月の返済額が減らないことでしょう。
変動金利のメリット・デメリット
メリットは一般的に固定金利より金利が低く設定されていて、世の中の金利が下がると返済額も減少します。デメリットは、借入後に世の中の金利が上昇すると返済額が増加することです。そのため借入時に総返済額が確定せず、返済額が変わることでライフプラン立てにくくなります。
一般的な変動金利型住宅ローンのルール
変動金利は短期金融市場金利に応じて半年ごとに見直されます。ただし毎月の返済額見直しは5年ごとに行われます。同じ金額を返済しているのですが、元金と利息の比率が変わるということです。金利が上がった場合には、同じ金額を返済しても利息分が増え元金が減っていかないことになります。また、金利が上がり5年に返済額が上がる場合、新しい返済額は旧返済額の1.25倍までという上限が設定されているのが一般的です。上限が設定されているのは安心するところですが、もし金利が大きく上がった場合、上がった返済額でも利息分をカバーできないという可能性もあるのです。そのため未払い利息が発生し元金が減らないどころか、実質的な借入残高が増えてしまうこともあるのです。
ローンの借り換え
金利が上がってきたから「固定金利に借り換えを」と考える方も多いかもしれませんが、固定金利型住宅ローンは、将来の物価上昇率や経済成長率を反映しやすいため、変動金利型住宅ローンに先行して金利が変動します。金利上昇局面では固定金利が先行して上昇する場合が多いのです。また変動金利型住宅ローンでも金融機関により金利は違いますが、借り換えには手数料もかかります。ローン残高、金利差、残り返済期間等を考慮し検討しましょう。
自分にあった金利タイプは
変動金利タイプが固定金利タイプか。一般的に言われているのは次のとおりです。変動金利タイプ
変動金利タイプ
・返済額が増えても返済できる
毎月の家計に余裕がある。貯蓄が多い。等、ある程度返済額が増えても返済が継続できるケース。
・借入額が少ない
いざというときに繰上返済ができるケース。
・借入期間が短い
固定金利タイプ
・返済額が増えると返済が厳しくなる
毎月の家計に余裕がない。貯蓄が少ない。
・将来的な支出の増加が見込まれる
子供の成長に伴い教育費増加が見込まれるため、住宅ローンは固定化しておきたい。
・今の段階で返済額を確定させておきたい
金利が上がっても動じない人は変動金利タイプ。金利が上がると動揺して心配でしょうがないという人は固定金利タイプ。
まとめ
住宅ローンは通常数十年に亘って返済していくものです。10年後の金利がどうなっているのかは誰にもわかりません。固定型か変動型かどちらが良いか・・は自分次第ということです。ただ重要なのは住宅ローンのことだけを考えるのではなく、ご自分や家族のライフプラン全体の中の一つとして考えることです。住宅ローン以外にも、子供の教育資金やご自分の老後資金など様々なお金が必要となります。それらを織り込んだ上で、無理のない住宅ローンを組みご自分に合った金利タイプを選択しましょう。