こんにちは。FP・行政書士すのはら事務所です。
史上まれにみるのろのろ台風。九州地方の方は本当に大変だし不安だろうと思います。大きな被災が無いことを祈ります。関東でも今夕から雨が強まるようで低地の足立区も気をつけないと・・・
引き続き教育資金についてです。教育資金の負担が大きくなるころは概して住宅ローンも抱えています。そのため子どもの教育資金準備に尽力したものの十分でなかった場合の手段として、教育ローンや奨学金制度による対策があります。
教育ローン
教育ローンは親が金融機関や公的機関から借り入れを行うものです。親の口座に一時金として振り込まれるため、まとまったお金を準備できます。
国の教育ローン
日本政策金融公庫が取り扱っている「教育一般貸付(国の教育ローン)」があります。概要は以下の通りです。
融資対象者 : 融資対象となる学校に入学・在学する者の保護者
世帯年収上限 : 子どもの人数1人 790万円(所得600万円)
子どもの人数2人 890万円(所得690万円)
子どもの人数3人 990万円(所得790万円)
1人増えるごとに100万円ずつ増額
※子どもの人数が1人、2人の場合一定の要件該当で緩和されます。
融資限度額 : 350万円
※自宅外通学や海外留学など一定の要件に該当する場合は上限450万円の利用が可。
融資条件 : 固定金利。返済期間最長18年。在学中は元金据え置き可能。
機関保証または人的保証要。
申込時期 : いつでも可。志望校が決まった段階で申込可能。
民間教育ローン
民間の教育ローンは金融機関により、金利、融資限度額、返済期間等異なっているので、資産状況や返済計画を吟味し借入を検討しましょう。一般的に審査機関は短くなっています。
奨学金制度
奨学金制度は必要な資金を学生本人に貸与または給付するもので、代表的なものに日本学生支援機構による奨学金制度があります。その他、学校や自治体、民間企業などが行っています。
日本学生支援機構の奨学金制度
日本学生支援機構では、憲法や教育基本法に定める「教育の機会均等」の理念のもと、経済的理由で修学が困難な優れた学生等に学資の貸与及び給付を行っています。
貸与奨学金
種類
無利子の「第一種」と有利子の「第二種」があり、併用ができます。また「入学時特別増額貸与奨学金」もありますが単独での利用はできず、第一種または第二種に組み合わせて利用します。第二種奨学金の利率の算定方法として(1)利率固定方式および(2)利率見直し方式のうち、いずれか一方を第二種奨学金を申し込む際に選択します。選択した「利率の算定方法」は、貸与期間が終了する年度の一定時期まで変更することができます。
貸与金額
第一種、第二種は、国公立・私立の別や、自宅通学か自宅外通学かなどにより、貸与月額が異なります。入学時特別増額貸与奨学金は10万円~50万円(10万円単位)となっています。
選考基準について
学力基準と家計基準があり、第一種、第二種とも、予約採用(進学前)と在学採用(進学後)では基準が異なります。第一種の予約採用では「高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること。」などとなっており、家計基準は所得、世帯人数等により細かく定められています。
保証制度について
機関保証に加入する(機関保証)、または連帯保証人と保証人を選任する(人的保証)を選択します。海外を対象とした奨学金の場合、両保証が必要となることがあります。人的保証では、一定の条件にかなった連帯保証人(原則として父母またはこれに代わる人)及び保証人(原則として4親等以内の親族で本人及び連帯保証人と別生計の人)が必要となります。(例として父と叔父)
返還について
毎回の返還額は、割賦方法と返還方法、貸与総額と利率により決められます。
①割賦方法
月賦と月賦・半年賦の併用から選択します。
➁返還方式
・所得連動方式・・第一種のみ可能です。前年の所得に応じて毎月の返済額が決まります。所得に応じて返済期間が変わります。
・定額変換方式・・返還期間は最長20年間となります。
事情により返還が難しくなった場合、救済制度を利用することで毎回の返還額の減額や先送りが可能となります。
給付奨学金
経済的理由で大学・専門学校への進学をあきらめないよう、2020年4月から新制度がスタートしました。(高等教育の修学支援新制度)世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができます。また、給付奨学金の対象となれば、大学・専門学校等の授業料・入学金も免除又は減額されます。授業料・入学金の免除・減額は確認大学等が行い、給付奨学金の支給は日本学生支援機構が行います。
給付額
大学等の学校の種別、国公立・私立の別、自宅通学・自宅外通学の別、世帯所得などにより細かく決められています。
選考基準
学力基準
予約採用の場合、申込時点で次の1または2のいずれかに該当する必要があります。
1、高等学校等における第1学年から申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること。
2,将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、入学しようとする大学等における学修意欲を有することが、文書、面談等により確認できること。(学修意欲等の確認は、高等学校等において面談の実施又はレポートの提出等により行われます。)
家計基準
世帯人数、所得により区分されているほか、申込日時点の本人と生計維持者(2人)の資産額の合計が 2000万円未満(生計維持者が1人のときは1250万円未満)であることとなっています。資産の対象となるものは、現金、預貯金、有価証券などで、土地、建物等の不動産は対象外です。
貸与奨学金は子供の負債(借金)となるものです。最近、奨学金が変換できない若者が急増・・・などと言うニュースも見ます。数百万円の負債となると新社会人には決して軽いものではありません。事前にお子様とよく話し合うことが大切です。