こんにちは。FP・行政書士すのはら事務所です。
昨日、NHKで空き家問題の特集が放映されていました。以前本ブログでも空き家について綴りましたが、そのころと比べさらに空き家は増えています。総務省の「令和5年 住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家総件数は、2023年時点で900万戸で、2018年の849万戸から51万戸の増加で過去最多となっています。そのうち「賃貸・売却用および二次的住宅(別荘など)を除く空き家」は385万戸で、2018年時点での349万戸から37万戸の増加。空き家全体の増加件数の約7割を占め、今後も増え続けていくことが容易に予測されます。
空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)2014
空き家の社会問題化は結構前からありましたよね。よくテレビニュースや情報番組で取り上げられていました。ところがそれに効率よく対応できる法律がない状態でした。建築基準法の守備範囲は建築するまでであり、維持については努力義務に過ぎませんそこで2014年に登場したのが「空家等対策の推進に関する特別措置法」。いわゆる空き家法でした。長いですが「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態または著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等」を「特定空家」と定義しました。
所有者が分かる場合、分からない場合
所有者が判明している特定空家に対しては、まず「助言・指導」が行われ、改善がない場合に「勧告」が行れ、「勧告」が撤回されないまま1月1日を迎えると、特定空家に適用されていた「住宅用地特例(200㎡以下の場合は固定資産税が1/6となる)」が適用除外となってしまいます。そして勧告の期限を過ぎても改善されないときには「命令」がなされます。そして期限までに命令が履行されないと、市町村長は自ら命令内容を実現することができます。これは行政代執行法2条に規定されている「公益要件」が削除された「緩和代執行」と呼ばれます。一方で所有者が判明しない場合、順を追った措置は取れません。しかし「著しい保安上の危険」等は現に存在しているわけで、その場合市町村長は自ら除却等の措置を取ることができ「略式代執行」と呼ばれます。この略式代執行が空き家対策には大きな意義を持ちます。結果、2015年度から2023年度にかけ、全国で出された「助言・指導」は39,180件、「勧告」456件、「命令」456件、「緩和代執行」213件、「略式代執行」510件となっています。
2023年改正法
2014年の空家法制定により空き家対策が進む中で、様々な課題も浮かび上がり、指針やガイドラインの改訂で対応してきましたが、2023年に法改正が行われました。
管理不全空き家制度
従来は空き家と特定空家の認定の間には特に措置は取られていませんでした。「通常の空家」か「著しい保安上の危険」かのどちらかでした。そこで「管理不全空家等」というカテゴリーが創出されました。これは空き家が特定空き家になるのを未然に防止するための措置になります。管理不全空き家等とは「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空き家に該当することとなるおそれがある状態にある」空き家等で、市町村長は「指導」・「勧告」を行うことができます。「勧告」されると住宅用地特例の適用除外となります。
民法の特例
民法を利用して特定空家を防止するために市町村長は、「不在者財産管理人」を選定して管理命令の請求や相続財産清算人の選任請求などができますが、これらは空き家だけでなくすべての財産に関するもので時間もかかり小回りが利かない面がありました。そこで改正法では市町村長が空き家等に関し、「所有者不明建物管理人」に管理命令を出すよう裁判所に請求でき、管理不全空家等、特定空家等に関して「管理不全土地管理者」に管理命令を出したり、「管理不全建物の管理人」に管理命令を出したりすることを裁判所に請求できるようになりました。本来、いずれの請求も「利害関係人」に可能とされていますが、空家法の実施に限定し、市町村長にも権限を認めたものです。
特別緊急代執行
特定空家等を除去する代執行については、助言、指導、勧告、命令を踏まえなければ実施することはできなかったが、改正により命令を省略して代執行ができるようになりました。それが「特別代執行」です。本改正では助言、指導、勧告は省略できません。その点でスピード感がどうかと言う議論もあるようです。
課題 意思能力に欠ける所有者等
意思能力が欠けていても成年後見人が選任されていれば法律行為は可能ですが、選任されていない場合はどうでしょうか。ある特定空家の危険性が高くなった場合、もし所有者の所在が不明であれば略式代執行により除却もできますが、相手がいれば略式代執行は使えません。緩和代執行を使うためには命令を踏まえなければなりませんが、相手に命令の受領能力がありません。特別緊急代執行は「命ずるいとまがないとき」が前提です。従来から「緊急安全措置」として「即時執行」がありましたが、これは必要最小限の行使にとどまるため、特定空家の除却までは無理とされているようです。一人世帯のお年寄りがいつの間にか意思無能力者となっていると言うことは多々ありそうですし、今後も増えていくのではないでしょうか。法律による対応と共に、やはり所有者等が任意後見など早めの対策を講じることが大切になりますね。
足立区の空き家対策取り組み
足立区でも空き家問題は発生しており、昨年8月から10月にかけ、足立区の特定空家に対する初の行政代執行が行われました。令和3年から「指導・勧告」がなされていましたが改善がなく、昨年3月命令措置がとられましたがそれでも改善がなく代執行による解体が行われたものです。解体費用410万円は所有者負担となります。足立区では「空き家・空き地利活用無料相談会」や「空き家ワンストップ無料相談会」が定期的に開かれています。空き家のお悩みをお持ちの方は一度利用してみるのも良いのではないでしょうか。
わが実家は3年前、近くの施設に入居していた母が亡くなり、ますます実家に行くことが減りました。2年前に給湯器が壊れてからは、上田に帰省してもホテル泊まり。まだ「空き家」状態ですが、いつ「管理不全空き家」になるか心配になります。「6DK+納戸X2」なので物が多く、その処理だけでもかなりの費用になりそうです。このGWでまた三兄弟で話し合いです。



