
5年に一度行われる年金改革法案が通常国会に提出され、現在審議が行われています。年金制度に対しては国民の関心度も高いのではないでしょうか。主な改正案を整理したいと思います。
基本の考え方
今回の年金制度改正の基本の考えは
・働き方や生き方、家族構成の多様化に対応する
・現在の受給者、将来の受給者の双方にとって、老後の生活の安定、所得保障の機能を強化する
となっています。
社会保険の加入対象の拡大
社会保険に加入する要件をわかりやすくし、それにより働き方を選びやすくし、将来の年金の増額メリットを受けられるようにするとのことです。
短時間労働者の加入要件の見直し 106万円の壁撤廃
現在、短時間労働者が厚生年金に加入する要件には、
①月額賃金88000円以上(年収約106万円以上)
②勤務先従業員51人以上
③週の労働時間20時間以上
となっています。
このうちの①を3年以内をめどに撤廃。②については27年10月には36人以上、29年10月には21人以上と段階的に減らし最終的には従業員要件も撤廃となっています。③の要件は継続となっています。20時間の壁とかにならないか気になるところです。
個人事業所の適用拡大
現行では「常時5人以上の者を使用する個人事業所」のうち、法律で定められた17業種が厚生年金の適用対象となっていますが、その他の業種についても適用とするものです。飲食サービスや宿泊業など適用対象がかなり広がることとなりますが、事業主の負担も大きく強い反発もあり、29年10月時点で既に存在している事業所は当分の間対象外となり、新規開業の事業所が対象となります。なお5人未満の個人事業所については現行通り対象外となります。
加入拡大対象となる短時間労働者への支援
厚生年金の加入対象になると、収入の約18.3%(実際は平均標準報酬額)の社会保険料の負担が発生し、その二分の一を負担(残り二分の一は事業主が負担)することとなり、それにより手取り額が減ることとなります。そのような短時間労働者に対し、3年間事業主の追加負担により社会保険料の負担を軽減できる特例措置がとられます。事業主が追加負担した分は国などが全額支援するとなっています。年収106万円の短時間労働者の場合、本来負担するべき社会保険料の二分の一で済むようになっており、161万円以上は本来の負担分を負担することとなります。
在職老齢年金制度の見直し
年金を受給しながら働く高齢者の賃金と老齢厚生年金の合計額が基準額を超えた場合、超えた分の二分の一が年金額から減額されることとなっています。25年度の基準額は51万円です。たとえばボーナスを含む年収の1/12が45万円、厚生年金の月額が10万円だとすると、(45+10ー51)x1/2=2万円が支給停止となり、厚生年金は8万円となっていしまいます。その基準額が26年4月から62万円に引き上げられます。それにより前例の場合、厚生年金は全額支給されます。月額45万円の賃金はすごいと思うのですが・・・高所得者がより高所得になるような感じがします。
遺族厚生年金の見直し
遺族厚生年金については以前から男女差別との意見が多かったところです。現在の制度では30歳未満の妻が夫と死別し遺族厚生年金の対象となった女性は5年間の有期給付で、30歳以上の場合は無期給付(一生給付)。男性の場合は55歳未満で妻と死別した場合は遺族厚生年金の対象外、55歳以上で死別した場合は60歳から無期給付となっています。性別年齢でかなりの差が生じます。これを男女共通とし、60歳未満で配偶者と死別した場合は原則5年間の有期給付、60歳以上で死別した場合は無期給付となります。男性については28年4月から実施。女性は28年4月から20年かけて段階的に実施されます。有期給付となる場合は、有期給付加算が新設され受給額が増額されます。
子どもの加算の見直し
各年金には子供がいる場合の加算のあるもの、ないものがあります。見直し後は下表のとおり各年金に子の加算が設定され、加算額も増額されます。

厚生労働省資料より
他にも改正案はありますがまだ審議中で最終的にどうなるかは決まっていませんし、一番の争点は基礎年金の引き上げ
となっています。基礎年金の引き上げについてはその財源が大きな問題です。赤字国債でとの意見もありますが、それとは別に消費税減税なども叫ばれており、日本の財政がどうなるのか心配です。自分の代と言うよりは子の代、孫の代でどうなるのか。いつも思うのですが政治家は本当に将来を見据えて議論しているのかな・・・