こんにちは。足立区綾瀬のFP・行政書士すのはら事務所です。
マイホームの購入は、人生の中でも大きな買い物の一つです。住宅を購入する際、多くの方が住宅ローンを利用すると思いますが、借入額が大きく、返済期間も長いため、慎重に考えなければなりません。このところ住宅ローン金利も上昇しています。また40年、50年という超長期ローンを利用する人も増えているようですが・・・
今回は、住宅ローンを組む際の注意点について、具体的な数字を使いながら説明します。
1.借入額によって返済額はどのくらい変わる?
まず、住宅ローンの借入額と毎月の返済額について考えてみましょう。
次の表は、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なしの場合の試算です。
| 借入額 | 金利年1% | 金利年2% | 金利年3% |
| 3,000万円 | 約8.5万円 | 約9.9万円 | 約11.5万円 |
| 4,000万円 | 約11.3万円 | 約13.3万円 | 約15.4万円 |
※毎月返済額は概算です。金利は借入期間中一定と仮定し、諸費用などは含めていません。
例えば、4,000万円を金利年1%で借りた場合、毎月の返済額は約11万3,000円です。
一方、金利が年2%であれば約13万3,000円、年3%であれば約15万4,000円になります。
金利が年1%から年3%に上昇すると、毎月の返済額は約4万1,000円増える計算です。
年間では約49万円、家計への負担が増えることになります。
もちろん、実際の変動金利型住宅ローンでは、金利が変わる時期や返済額の見直し方法などによって結果が異なります。しかし、金利の違いが家計に大きな影響を与えることは理解しておきたいところです。
2.金利によって総返済額はどのくらい変わる?
次に、総返済額について考えてみます。
4,000万円を35年間借り入れた場合、金利ごとの総返済額は次のようになります。
| 金利 | 毎月返済額 | 総返済額 | 利息の総額 |
| 年1% | 約11.3万円 | 約4,742万円 | 約742万円 |
| 年2% | 約13.3万円 | 約5,565万円 | 約1,565万円 |
| 年3% | 約15.4万円 | 約6,465万円 | 約2,465万円 |
※金利が35年間変わらないと仮定した試算です。実際の変動金利型住宅ローンの将来の総返済額を予測したものではありません。
金利年1%と年2%を比較すると、利息の総額には約823万円の差が生じます。
年1%と年3%では、その差は約1,723万円にもなります。
住宅ローンは借入額が大きく、返済期間も長いため、わずかな金利差でも総返済額に大きな違いが生じるのです。
ただし、将来の金利がどうなるかは誰にも正確には分かりません。変動金利型と固定金利型のどちらが有利かを単純に判断するのではなく、金利が上昇しても返済を続けられるかという視点が大切です。
3.「借りられる金額」と「返せる金額」は違う
住宅ローンを検討するとき、金融機関からいくら借りられるかを気にする方は多いと思います。
しかし、金融機関の審査に通ることと、無理なく返済できることは別の問題です。
例えば、年収600万円の方が、毎月12万円の住宅ローンを返済するとします。
年間返済額は144万円ですから、年収に占める返済額の割合は24%になります。
一見すると返済できそうに思えるかもしれません。
しかし、実際には手取り収入から食費、光熱費、教育費、保険料などを支払わなければなりません。さらに、固定資産税や住宅の修繕費なども必要です。自動車をお持ちならその維持費もばかになりません。
年収600万円でも、家族構成や生活費によって住宅ローンに充てられる金額は異なります。
返済負担率だけで判断するのではなく、実際の手取り収入を基に家計を確認することが重要です。
また、パワーカップルと呼ばれる共働き世帯が高価物件を購入することも増加しているようですが、夫婦双方の収入が将来も同じ水準で続くとは限りません。出産や育児、転職、病気などによって収入が減少する可能性も考えておきましょう。
4.住宅ローン以外にも、住宅にはお金がかかる
住宅を購入すると、住宅ローン以外にもさまざまな費用がかかります。
例えば、毎月の住宅ローン返済額が12万円の場合、年間返済額は144万円です。
これに加えて、固定資産税・都市計画税、火災保険料、修繕費などが必要になります。マンションであれば、管理費や修繕積立金、駐車場代なども考えなければなりません。
仮に、住宅ローン以外の維持費が月平均3万円かかるとすると、年間では36万円です。
住宅ローンの年間返済額144万円と合わせると、住宅に関する支出は年間180万円になります。
さらに、購入時には仲介手数料、登記費用、融資手数料などの諸費用も発生することがあります。
住宅の維持費は、建物の種類や築年数、立地などによって異なります。ここでの3万円はあくまで計算例ですが、住宅ローンの返済額だけで予算を考えないことが大切です。
5.教育資金や老後資金も考えておく
住宅ローンの返済計画を立てるときには、今後の教育資金や老後資金についても考える必要があります。
例えば、普通、子どもが大学に進学する時期と住宅ローンの返済は重なるでしょう。その際住宅ローンが家計にあたえる負荷が大きくなる可能性があります。
また、長期ローンにより、定年退職後も住宅ローンが残っている場合は、年金収入などで返済を続けられるか確認しておかなければなりません。
例えば、65歳時点で住宅ローンの残高が1,000万円あり、退職金で全額返済しようと考えていたとします。
しかし、退職金から住宅ローンを返済すると、老後の生活費や医療費、介護費用などに充てられる資金が減ってしまいます。
退職金は、必ずしも住宅ローンの返済に使えるとは限りません。
住宅購入前に、今後の収入と支出を予測するキャッシュフロー表を作成すると、教育費が増える時期や退職後の資金不足などを把握しやすくなります。
6.変動金利を選ぶ場合は、金利上昇への備えを
変動金利型住宅ローンは、一般的に借入当初の金利が低めに設定される一方、将来、金利が上昇すると返済負担が増える可能性があります。
一部の住宅ローンには、返済額を5年間据え置く「5年ルール」や、見直し後の返済額を従前の125%までとする「125%ルール」があります。
ただし、すべての金融機関が採用しているわけではありません。また、これらのルールがあっても、金利上昇による負担そのものがなくなるわけではありません。
例えば、4,000万円を35年返済、当初金利年1%で借りた場合、当初の毎月返済額は約11万3,000円です。
仮に金利が年3%になり、同じ残存期間で返済額を再計算すると、毎月返済額は約15万4,000円になります。
実際の返済額は、金利変更の時期や未返済残高、金融機関のルールなどによって異なりますが、このような金利上昇にも対応できる余裕を持っておくことが大切です。
7.住宅ローン控除も確認しておく
住宅ローンを利用して住宅を購入すると、一定の要件を満たす場合に住宅ローン控除を受けられます。
2026年の制度では、住宅ローン控除の適用期限が延長され、2026年から2030年までに入居する場合も、要件を満たせば対象となります。控除率は原則として年末の住宅ローン残高の0.7%で、控除期間や借入限度額は住宅の種類や性能などによって異なります。
例えば、年末の対象ローン残高が3,000万円であれば、0.7%は21万円です。ただし、これは計算上の金額であり、実際に21万円の控除を受けられるとは限りません。所得税・住民税の額や適用要件などによって、実際の控除額は変わります。
制度の詳細は、国土交通省の住宅ローン減税の案内などで確認しておきましょう。
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/zeisei_index2.html
なお、住宅ローン控除を受けられることを前提に借入額を増やすのは避けたいところです。控除によるメリットは考慮しつつも、控除がなくても返済できる計画を立てることが大切です。
まとめ
住宅ローンを組む際には、借入額や金利だけでなく、住宅購入後の維持費、教育資金、老後資金なども含めて考える必要があります。
今回の試算では、4,000万円を35年間借り入れた場合、金利が年1%から年3%になると、毎月返済額は約11.3万円から約15.4万円へ増える結果となりました。
このように、住宅ローンは金利や借入額によって家計への影響が大きく変わります。
大切なのは、金融機関からいくら借りられるかではなく、住宅を購入した後も安心して生活できるかどうかです。
マイホームの購入を検討されている方は、現在の家計だけでなく、将来の収入や支出も考慮して、無理のない資金計画を立ててみてはいかがでしょうか。FP・行政書士すのはら事務所ではご相談者様にヒアリングを行った上で、将来のキャッシュフロー表を作成いたします。住宅購入をお考えであれば、組もうと思っている住宅ローンと、今後かかる生活費や教育費等を勘案し、無理なく住宅ローンの支払いを続けられるか、一度ご確認することをお勧めいたします。
