こんにちは。足立区綾瀬の「FP・行政書士すのはら事務所」です。
この夏、お盆に長野県にある春原家の墓参りに行ってきました。ここのところ年一、
お盆だけの墓参りになっています。
近年は
「お墓が遠くて、なかなかお参りに行けない」
「子どもにお墓の管理を負担させたくない」
「お墓を継ぐ人がいない」
このような理由から、近年「墓じまい」を検討する方も増えているようです。
しかし、墓じまいは単に墓石を撤去すれば終わるものではありません。お墓に納められている遺骨をどうするのか、現在のお寺や墓地の管理者にはどのように伝えるのか、どのような行政手続きが必要なのかなど、事前に確認しておくことがたくさんあります。
今回は、墓じまいを検討している方に向けて、墓じまいの基本から費用、手続き、注意点まで分かりやすく解説します。
1.墓じまいとは?
墓じまいとは、現在のお墓を撤去して墓地を更地に戻し、墓地の使用権を返還することをいいます。
ただし、「お墓をなくすこと」が墓じまいの目的ではありません。
現在のお墓から遺骨を取り出し、別のお墓や納骨堂、樹木葬、永代供養墓などに移すことが一般的です。
つまり、墓じまいは、
「現在のお墓を整理し、遺骨を新しい供養先へ移す手続き」
と考えると分かりやすいでしょう。
2.なぜ墓じまいをする人が増えているのか
墓じまいを検討する理由は人それぞれですが、代表的なものとして次のようなものがあります。
① お墓が遠い
親が亡くなった後、実家から離れた場所に住んでいるため、お墓参りや管理が難しくなるケースです。
特に、高齢になると遠方のお墓を維持することが大きな負担になります。
② お墓を継ぐ人がいない
少子化や未婚化などにより、「将来、お墓を管理してくれる人がいない」という問題も増えています。
③ 子どもに負担をかけたくない
「自分が亡くなった後、子どもにお墓の管理をさせたくない」という理由で墓じまいをする方もいます。
④ お寺との付き合いが難しくなった
檀家としての付き合いや、お墓の管理などについて負担を感じ、今後の供養方法を見直すケースもあります。
⑤ お墓の維持費が負担になっている
墓地の管理費や、お墓の修繕費など、長期的な維持費がかかることも墓じまいを考えるきっかけになります。
3.墓じまいをする場合、遺骨はどうする?
墓じまいで最も重要なのが、取り出した遺骨をどうするかという問題です。
代表的な方法には次のようなものがあります。
永代供養墓
寺院や霊園などが、遺骨の供養・管理をしてくれる方法です。
「子どもにお墓の管理をさせたくない」という方に選ばれることがあります。
納骨堂
屋内の施設などに遺骨を納める方法です。
駅から近いなど、交通の便がよい施設もあり、お墓参りの負担を軽減できる場合があります。
樹木葬
墓石の代わりに樹木や草花などを墓標とする供養方法です。
近年、自然志向の方などから注目されています。
新しい墓地への改葬
現在のお墓を撤去し、別の墓地に新しいお墓を建てて遺骨を移す方法です。
「お墓そのものは残したいが、場所を変えたい」という場合に適しています。
手元供養
遺骨の一部を自宅などで保管する方法です。
ただし、遺骨をどのように扱うかについては法律上のルールがありますので、事前に確認しておくことが大切です。
4.墓じまいには「改葬許可」が必要
墓じまいをする際に注意したいのが、遺骨を現在のお墓から別の場所へ移す「改葬」です。
墓地や埋葬等に関する法律では、遺骨を現在の墓地から別の墓地等へ移す場合、原則として市区町村長の許可が必要です。
この許可を「改葬許可」といいます。
一般的には、
現在の墓地の管理者 → 改葬許可申請に必要な証明書等を取得 → 市区町村へ申請 → 改葬許可証を取得 → 遺骨を取り出す
という流れになります。
自治体によって必要書類や手続きの方法が異なる場合がありますので、事前に確認しましょう。
5.墓じまいの一般的な流れ
墓じまいは、次のような流れで進めるとよいでしょう。
STEP1 家族・親族と相談する
最初に行うべきなのは、家族や親族との話し合いです。
墓じまいをした後に「聞いていなかった」「勝手に墓をなくされた」といったトラブルにならないよう、できるだけ関係者に説明して理解を得ておきましょう。
STEP2 新しい供養先を決める
墓じまいを先に進めてしまうのではなく、まず遺骨の移転先を決めておくことが重要です。
永代供養墓、納骨堂、樹木葬、新しい墓地など、家族の希望や費用、立地などを比較して決めましょう。
STEP3 現在の墓地・寺院に相談する
現在のお墓が寺院墓地にある場合は、寺院に墓じまいの意思を伝えます。
長年お世話になっている場合には、突然「墓じまいをします」と伝えるのではなく、トラブルにならないよう、まずは相談という形で話をすることが大切です。
STEP4 改葬許可の手続きをする
必要な書類をそろえて、現在のお墓がある市区町村で改葬許可の手続きを行います。
STEP5 墓石を撤去する業者を決める
石材店などに依頼して墓石を撤去し、墓地を原状回復します。
複数の業者から見積もりを取ることも検討しましょう。
STEP6 閉眼供養などを行う
宗教・宗派によっては、墓石から魂を抜くとされる「閉眼供養」などを行います。
必要かどうか、またどのように行うかについては、寺院や宗教者に確認しましょう。
STEP7 遺骨を取り出し、新しい場所へ納める
改葬許可証など必要な書類を確認したうえで遺骨を取り出し、新しい納骨先へ移します。
STEP8 墓地を返還する
墓石を撤去し、墓地の管理者に土地を返還します。
6.墓じまいにはどのくらい費用がかかる?
墓じまいの費用は、お墓の大きさ、墓地の立地、墓石の量、作業の難しさなどによって大きく変わります。
主な費用としては、
・墓石の撤去・処分費
・閉眼供養のお布施
・離檀に伴う費用が発生する場合の費用
・遺骨の取り出し費用
・新しい納骨先の費用
・改葬に関する行政手続きの費用
・新しい墓地や納骨堂等の管理費
などがあります。
特に注意したいのは、墓石の撤去費用だけを見て判断しないことです。
墓じまい後に遺骨をどこへ移すのかによって、必要となる費用は大きく変わります。
そのため、
「墓じまいにいくらかかるか」ではなく、「墓じまいから新しい供養先まで総額でいくらかかるか」
という視点で考えることが大切です。
7.墓じまいで起こりやすいトラブル
墓じまいでは、家族や親族、寺院、墓地管理者などとのトラブルが起こることがあります。
親族とのトラブル
「先祖のお墓を勝手になくした」と親族から反対されるケースがあります。
墓じまいを決める前に、できるだけ関係する親族に事情を説明しましょう。
寺院とのトラブル
檀家になっている場合、墓じまいに伴って寺院との関係を解消することがあります。
寺院側にも事情があるため、感情的にならず、これまでのお礼を伝えながら丁寧に相談することが大切です。
高額な費用を請求されるトラブル
墓石撤去業者などに依頼する場合には、契約内容をよく確認しましょう。
見積書を取得し、「何が料金に含まれているのか」を確認することが重要です。
8.墓じまいは「終活」の一つとして考える
墓じまいは、単なるお墓の整理ではありません。
自分が亡くなった後、家族にどのような負担を残すのかを考える「終活」の一つでもあります。
例えば、
「自分はどのように供養してほしいのか」
「遺骨はどこに納めてほしいのか」
「誰に手続きをしてほしいのか」
といったことを、元気なうちに家族と話し合っておくことが重要です。
墓じまいだけでなく、遺言書、死後事務委任契約、財産管理、相続なども含めて、自分の死後について整理しておくと、残された家族の負担を減らすことにつながります。
9.墓じまいは早めの準備がおすすめ
「まだ元気だから、墓じまいは後でいい」と考える方も多いでしょう。
しかし、墓じまいには、家族との話し合い、寺院や墓地管理者との相談、新しい納骨先の検討、行政手続き、墓石撤去など、いくつもの段階があります。
また、高齢になってから遠方のお墓を整理することは、身体的にも精神的にも負担になる可能性があります。
だからこそ、
「お墓をどうするか」は、元気なうちに家族と話し合っておくこと
をおすすめします。
まとめ
墓じまいは、先祖のお墓をなくすことだけが目的ではありません。
これからの家族の生活や、自分自身が亡くなった後のことまで考えたうえで、より負担の少ない供養の方法へ移行するための大切な手続きです。
墓じまいを検討する場合には、
①家族・親族と相談する
②新しい供養先を決める
③現在の墓地・寺院に相談する
④改葬許可の手続きをする
⑤墓石を撤去する
⑥遺骨を新しい場所へ移す
という流れを基本に考えるとよいでしょう。
「何から始めればいいのか分からない」「寺院や親族との話し合いが不安」「改葬の手続きがよく分からない」という場合には、一人で抱え込まず、行政書士などの専門家に相談する方法もあります。
墓じまいは、家族に迷惑をかけないためだけのものではありません。
これからの自分と家族が安心して暮らしていくための、前向きな終活の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。




